以下は、カオルの書斎に残された、カオルの父、ユーキの日記である。


 ***


○月×日 晴れ


神から二人目の子供を授かった。

これほど素晴らしい日はない。

妻の経過も順調だ。

先ほど確認してきたが、あの子にも、我が一族の証の兆候が見えた。

一族外の妻との結婚は反対も多かったが、これで無事、後継を残せる。

しかも、二人もだ!

おお、我が神よ――!



○月×日 雨


カオルは順調に育っている。

今はまだフツウの人間の子と変わりないが、私がそうであったように、

思春期を過ぎた頃には、一族の証が現れてくるだろう。

遅くとも二十代後半には現れるはずだ。



○月×日 晴れ


仕事の方もいたく順調だ。

我ら眷属が力をあわせれば、海運業において右に出る者はいない。

一応、私が表向きの取締役となっているが、いずれは我が息子が、

私の地位を継ぐことになるだろう。

一族の発展のため、息子には相応の教養をつけさせねばならない。

手元から離すのは多少不安だが、いずれは東京の大学で学ばせるべきだろうか。