「こんにちは。いつものやつお願いしますっ」

そう言って、人懐っこく笑ったのは、他の誰でもない八木さん本人で。

私は戸惑いながらも、いつものようにご飯をお皿によそった。

私の隣では、花田さんが目を点にして私と八木さんを交互に見ているのが分かってたけど、あえて気づかないふりをして。

「八木だけ特盛とか無しだからな、」

そして、八木さんが私に話しかけるのと同じ位解せない現実がひとつ。

「御園生さん……本当にここでランチ摂るんですか?」

御園生さんが昨日に引き続き、うちの社食にカレーを食べに来ているのだった。

「悪いか?仕事のついでがあったから、ついでに食べに来てやったんだぞ?」

……食べに来てやったって……相変わらず横柄なんだから。

「御園生もうちの社食の素晴らしさが分かったんだな」

八木さんが嬉しそうに、御園生さんの肩を叩いている。

「確かにカレーは美味いよ。それをよそう人間が色気がないのは残念だけどね」

カレーよそうのに色気とか要ります?と突っ込みたいのをグッと堪えた。

何故か御園生さんの言葉はグサッと刺さる。

御園生さんって、誰にたいしてもこんな毒舌なのかしら。

反論するのも無駄だと言えるくらい、彼は口が達者で言い負かされてしまう。