マクブレイン国に来て約ひと月が過ぎた。今はマクブレイン城の薬室で働いている。薬室は広くて中は診察室、療養室と分かれている。直ぐ隣は研究室になっている。このお城に薬師はたくさんいるけど、研究室には限られた人しか入れない様になっている。



「お昼食べに行こう!」



初めて薬室に来た日もこうしてロアナがお昼を誘ってくれた。


ロアナとは同い歳で、彼女はここの薬室に勤める様になって1年経つ。明るくて面倒見がよくて、色々と教えてくれる。仕事の事以外でのここでの生活の事も教えてくれる。


お城の食堂は朝もお昼も夜もいつも賑わっている。


私たちは向かい合って座った。



「ここでの生活は慣れた?」

「うん。 宿舎と薬室の往復しかしてないからね。 お城の中は迷子になりそうだから、あんまりフラフラ歩かない様にしてる」

「そうなの? 勿体ない! せっかくだから探検すればいいのに〜」

「あはは、探検って! うろちょろしてると警備の人に捕まっちゃいそうだし」

「バルドック出身だから気にしてるの?」

「んー……少しは」



私は戦争を機にバルドック国を出てマクブレイン国に移住して来た事にしている。実際我が国に勝利したマクブレイン国は、バルドック国の住民を受け入れている。今後情勢が不安定になる国にいる事が不安な民は次々と移住した。