「ヘンリー!! 見て見てぇぇぇ!!」



エプロンをカゴ代わりにして沢山のお花をヘンリーに届けた。川辺に咲いていた綺麗なお花を大好きなヘンリーにも見せたかった。


ヘンリーは屈むと白いお花を取って香りを嗅いだ。



「ありがとう。 でも少し怒ってる」

「どうして?」

「この花たちも生きている。 無闇矢鱈と摘み取っては可哀想だろ? 俺が言ってる事分かるよね?」

「……ごめんなさい」



ヘンリーは優しいけど時々真面目な顔をする。泣いている私を抱きしめてくれた。もっと涙が出てくる。



「ビーチェの気持ちは凄く嬉しいんだよ」

「ほ、んと?」

「あぁ、本当。 だから泣かないで」



小さい時から側に居てくれるヘンリー。8歳の私よりも大人なヘンリー。いつも色んなことを教えてくれる。大好きなお兄ちゃん。



「このお花は今晩お風呂に浮かべようか?」

「うん!」

「お花を籠に入れておいで」



籠にお花を入れると、ヘンリーが温かいミルクを淹れてくれた。朝しぼったばかりのミルク。



「今日も良い子で待っててね」

「はぁい。 ねぇヘンリー、パパにはいつ会える?」

「どうだろう…聞いてみるよ。 じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい!」