《萩花side》
「なにここ…」
あれからバイクに乗って着いたのは家…ではなくて“BlackCity”の奥を進んで行った場所だった。
“BlackCity”は基本いつでも暗い。
でも、ここだけは唯一、太陽の光が差し込んでいた。
こんな場所…あったんだ。
初めてきた。
バイクから降りて、二人で古い今は使われていないコンテナの上に登って座る。
そこから見えた景色はとても綺麗で隣町が一望出来るほどだった。
「ここ俺の隠れスポット」
ふっ、と笑い景色をぼうっと見ながら言った。
「嫌なこととか逃げ出したくなった時に来んの。
そしたら、なんか心が綺麗になった気分になる」
少し、切なげに顔を歪ませた慶さん。
きっと、彼には彼なりの苦しさや過去があるんだと思う。
まだ、触れてはいけない。
開けてはいけない、パンドラの箱があるんだ。