「心菜、心菜」


ん·····。


ぼやけた頭と視界で、私の名前を呼ぶ人へ顔を向ける。


あ、花音だ。


ぼやけてるけど美人なのがはっきりとわかる。


「花音⋯⋯なに⋯⋯?」


「もうすぐ入学式よ」


入学式·····。


え、もう、こんな時間?


あ⋯⋯ほんとだ。


「教えてくれてありがとう、花音。行こう!」


時計を見てぱっと目が覚めると席を立った。


「もう、自分勝手なんだから」


入学式の時間があともう少しだったことに気づいて私の頭は一気に冴える。


ぱっちり、目が開きました。


ちょっと寝たからか、今日の朝から友達だった睡魔とは絶交したようだ。


今日の睡魔、しつこかったなぁ、いつもより。


そんなことを思いながら椅子から立ちあがって廊下に進む。