* 彩葉 side **




「Also a big love, it is important to endure.」

「……は?」



いつもの放課後、帰り道。



もう少しで李樹が敬語に戻ってしまう距離に達した時、私が口からぽろっと出した言葉に李樹は眉をひそめた。




love、くらいは聞き取ってもらえただろうか。



李樹は英語は喋れない。


無論、意味を教えるつもりもないけど。




「本当に深い言葉だよねー」

「だから何がだよ」

「ん?名言っ」



語尾にハートを付ける勢いでそう言ってウインクすれば、李樹は呆れた顔でもう何も聞いてこなくなった。





…あの日以来。


あの、泣きじゃくった日以来、私と李樹の関係が何か変わったかと聞かれれば何も変わっていない。


あれだけ李樹の言葉に傷付いて、三芳くんの前で泣いて、李樹をバカバカと罵倒したくせに、何も変わらない…というか、変われなかった。




李樹がいつも通り過ぎるから。


なんなら彼氏モードの李樹は甘すぎるくらい。