「彩葉ちゃんってさ、椎名クンのこと好きでしょ?」


────ガシャンッ




それは、本当に不意打ちだった。




「クスッ、大丈夫?結構分かりやすい動揺の仕方だね、彩葉ちゃん」

「え、あ、いや。別に動揺ってわけじゃ…」

「いや、もう隠しきれてないよ?」



クスクスと笑うのは、例によって三芳くん。




彼が転校して来てからというもの、もう毎日のように三芳くんは我が家に顔を見せに来ていた。


それはもう、学校のある日だけではなく休日まで。





そして今日もその休日の1つである日曜日。



いつも通り客間へ通し、賢木の用意してくれたティーセットでカップに紅茶を注いでるそのタイミングで、三芳くんは爆弾を落としたんだ。



おかげで持っていたティースプーンをソーサーの上に落としてしまうこの始末。




「なるほど。それで俺に見向きもしてくれないわけね」

「…っ!」



納得したかのように頷く三芳くんに、もう誤魔化すのは無理だと悟る。




この場に李樹がいなくてよかった。


まぁ、この話をするつもりだったから三芳くんが部屋から李樹と賢木を追い出したんだろうけど。