「…は?父様、母様。今、なんて…?」




─────それは、ある日の夜のこと。



夕食後に父様に書斎に呼び出されたことから始まった。




書斎のソファには父様と母様。そして扉側には呼び出された私と李樹と賢木の3人がが並んでいる。




わざわざ私の周りの使用人を呼び出して何を言い出すのかと緊張する私に、父様と母様はにこやかにこう言ったのだ。



「明日、お前の婚約者が来る」と。





「だから、お前の婚約者だよ。明日から彩葉と椎名のクラスに転入するように手続きはしてある」

「や、だから…っ。聞いてないよ、そんなこと!」


当然、婚約者だなんて存在がいたこと自体が初耳な私はパニック状態。



チラッと隣を見れば、李樹も賢木も驚いているようだった。




「この前お父様と決めたのよ。彩葉にぴったりの婚約者を」

「あぁ。イギリスからの帰国子女だよ。心配しなくてもちゃんとした日本人だ」

「そうじゃなくて!」



思わず大声を出してしまう私に、父様と母様の口が一瞬止まる。