「希和…」


ん?


『まーくん』と呼んだ、目の前にいる女の人は、サラサラの長い黒髪をシュシュで横に1つに結んでいて、すごく白い肌をしているどっからどうみても美女。


松下くん、彼女のことを「希和」って呼んだよね?



この人…松下くんの知り合い?




「まさかこんなところでまーくんと会えるなんて」


「…それはこっちのセリフ。体調どうなの?」


「うん。とってもいい感じ。まーくんがずっとそばにいてくれたおかげだよ」


え。
この人ってもしかして、松下くんの…元…。


「不安な夜はいつもまーくんが…」


「昔の話でしょ?よかったよ。元気そうで」


なんだか、この人と話してる時の松下くんはすごく大人っぽく見える。



「うん。あ…ごめんなさい。デート中だった?」



私の存在に気付いた美女はそう言って謝る。



ウエスト周りに細いリボンがついた水色ワンピースに、白のカーディガンを羽織った格好は、お人形みたいに細く、整った顔つきの彼女によく似合っている。



簡単に言えば、私とは正反対のタイプ。


大人しそうで上品そうで。



「全然全然!デートとかじゃないです!ただのクラスメイトで…ホントたまたま」



慌てて美女にそう訂正する。