───VIP室。


ゲームも、終わり蓮華に集められた俺達は反省中。



「はっ……お前ら、まだまだじゃねえか」


「いや、蓮華にだけは言われたくない。」



自信満々に、足を組む彼にそう言葉を告げる。


やはり、返ってきたのは驚きの表情。


や、そんな顔されても。


困るわあ……w



「そうそう、一番ダサかったしぃ〜」


「え!?」



零涙の言葉に過剰反応をし、蓮華は肩を落とす。


その横では、不機嫌そうに腕を組む由弦。


珍しいな、ゆづゆづが何かに対してあんな風になるの。


俺は、気づかれないように笑むと由弦の横に腰掛ける。



「もぉ、ゆづゆづってばムッとしないでよー」



眉を八の字にして、彼を見るとその顔はまだ不機嫌そうに歪んでいる。



「てか、何に対して怒ってんの?」



いつの間に、俺の隣に座っていた零涙を、暫く見つめたまま固まる由弦。


言葉が、でないのかな?


俺は、暫くその様子を伺うと由弦が言葉を発した。



「それは……分からん。」


「分かんないのに、そんな不機嫌なの!?」



珍しく大声を上げて、驚愕する零涙。


まあ、ゆづゆづはよく分かんないからな……


その言葉で、この話題を締めくくると零涙は不満そうに唇を尖らせた。


理由は、定かではない。


まあ、そんな話はいいとして。


本題は、アレだ。



「ねえ、蓮華。どうするの?」


「ん?」



蓮華は、一瞬気の抜けた声を出す。


が、暫くして俺の投げかけた質問に気づいたのか「あぁ、」と同調する。



「ま、仕方ない。」


「何が?」


「アイツらのことだろう?」



一瞬、こいつ話の流れ理解出来てんのか、と思うが蓮華からの返答に俺は安心する。


ちゃんと、俺の話しは伝わっていた……と。


胸を撫で下ろし、ため息なのか分からない息を吐く。


俺は、意を決し蓮華にあの言葉を投げかけた。



「ねえ、蓮華。諦めよ?」


「そうだな」



え?


嘘でしょ。


こんな、あっさり承諾するんですか蓮華さん。


まあ、いい。


正直、俺も蓮華のお遊びに飽き飽きしていたところだ。


恋愛なんて、所詮……


そう思考をめぐらせる最中に。


蓮華の言葉に、目を見開く。



「善は、急げ……だ。よし、決行するぞ」


「……え?……っはああ!?」



驚愕の声を漏らし、俺は蓮華の肩を掴んだ。


急に、俺が異常化したからか、由弦、零涙の2人は驚きを隠せないようだ。


蓮華は、「どうした誠名」と軽重な態度だ。



「い、今なんて言った!?蓮華から、ありえないことわざが聞こえたんだけど!?」


「善は、急げ……?」


「そう、それ!?ねぇ、その意味わかって使ってる!?そんなはずないよね、蓮華世界一、いや宇宙一馬鹿だもん!!」



蓮華は、肩を掴まれながら「俺さり気なくディスられてる……?」と零涙、由弦の2人に視線を送る。


その蓮華の視線に、2人は動きを合わせて頷いた。


そのやりとりの最中にも、俺の思考はグルグルで。


一心不乱。


まさに、その四字熟語がお似合いだ。


すると、脳内に入る由弦の言葉。



(誠名、一心不乱の意味、間違えてるぞ)



─────な。


何で、俺の心に入れてんのォォォ!?


心の中で、思わずシャウト。


由弦は、頭上にクエスチョンマークを浮かべたまんま。


なんだろう。


俺もう、ボケツッコミきれないよ?


助けを求めて、零涙を見るが彼は完全にこの状況を楽しんでいる。


はあ……


味方なしか(涙)



「で?どうすんの」



このカオスな空気を切り裂いたのは、能天気な彼の声。


零涙が、再び新しい飴を咥えながら、俺達を見据えた。


う……


この目は、“くだらないことしてないで、早く話進めろ”という目だ。


若干、笑顔が強ばっている気がした。


まずいな。


俺は仕方なく、蓮華の肩から手を離す。


唇を尖らせて、不服そうにすると零涙からの視線に殺られる。


蓮華は、そんな零涙の機嫌にも気づかず単調に言葉を出した。



「うーん…………」



「??」



皆の頭に浮かぶ、クエスチョンマーク。




「仕方ない、じゃあ…………」