それから数日後。私は、全てを引き払って、正式に修二さんのマンションに越してきた。

結婚してからでいいと、修二さんには言ったのだけど、それまで待てないと言われた。

「…麗美がいないと、本当に眠れないんですよ」

「…そうなんですか?それじゃあ、今迄、どうやって睡眠をとっていたんですか?」

…ベッドの中、私を後ろから抱きしめる修二さんとの他愛もない会話。

「…毎日、1、2時間位眠れたらいいくらいでしたから」

その言葉に驚く。ただでさえ、ハードワークなのに、睡眠時間がそれでは、疲れは取れないはずだ。

「…麗美が傍にいるようになって、こうやって抱きしめて眠ると、今迄の不眠が嘘みたいに無くなったんです」

「…本当ですか?」

「本当ですよ。そのお陰で、仕事が捗るようになりましたし」

その言葉が嬉しくて、微笑むと、修二さんも優しい笑みを浮かべた。

「…そんな、俺の大事な人に」
「…ぁ、なんで急に、俺になった…‼︎」