ーードキドキ
ーードキドキ
や、やばい。
すごく緊張する。
ど、どうしよう。
こんなこと、生まれて初めてだよ。
昨日の夜何度も何度も修正して書き直した手紙を胸に当てた。
いい文章が思い浮かばなかったのと、ドキドキと緊張で何枚紙をムダにしたことか。
大丈夫。
わたしなら出来る。
何も、直接渡すわけじゃないんだから。
靴箱にそっと入れるだけじゃん。
大丈夫。
大丈夫だよ。
昇降口をスーッと通り抜けるまだ少し冷たい風が、シュシュで一つにまとめた長い髪を揺らす。
わたし鈴峰 花梨(すずみね かりん)は、この春晴れて高校二年生になりました。
春休みが明けてまだそんなに日が経っていないから、新しいクラスにはまだ慣れない。
そんな中、わたしは一大決心をした。
「よしっ!」
うん。
頑張ろう。
わたしは今日、高校の入学式の日に一目ボレした高野 海斗(たかの かいと)くんに告白します。