ピンポーン




着いたのは、千尋くんのお家だった。




ガチャっとドアが開いて、千尋くんが中から顔を出す。




「はぁ、はぁ…千尋にパス!
それじゃあ、小鳥遊ちゃん、またね〜」




「ちょ…っと…遠藤くん!」




私も走り疲れて、上手く言葉が出てこない。




遠藤くんはその場から去り、私と千尋くんだけがその場に取り残された。




うぅ…空気が重すぎるよ。




「おいで」




そう言って、家の中に入れてもらった。




あぁ…久しぶりの千尋くんのお家。
久しぶりの匂い。




なんだか、ものすごく落ち着く……。




「ほら、水飲みなよ」




そう言って千尋くんは私に水の入ったコップを差し出してくれた。


私は、ありがとう、とコップを受け取り一気に飲み干す。




「あの…千尋くん」




「何?」




ソファにお互い隣あって座る。




「…昨日は強い口調で言っちゃってごめんね。
千尋くんは心配してくれたのに……。」




まず、千尋くんに言わなきゃいけないことは、それだと思った。




「別にいいよ。今も声が変わってないから、
ちゃんと話してよ。

なんで園田に頼るの?なんで俺に頼ってくれない?
俺そんなに頼りない?」




千尋くんの表情は、苦しそうで悲しそうで、声は、とても悔しそうだった。




私、本当に子供だ。




なんで千尋くんを信じて相談しなかったのかな。
今、私がやってる行動が、もっともっと千尋くんを心配させてるって、なんで早く気づかなかったんだろう。