“今から家の外に出てこられる?”

鈴木くんからメールが着たのは双子とひろむを寝かしつけて、リビングでまったりとテレビを見ていた時だった。

両隣にはスナック菓子を頬張る樹と、宿題をしている早苗がいて、櫂がシャツにアイロンを当てていた。

「亜由姉さん、これで終わり?」

私が唯一苦手としているアイロンがけは我が家では櫂の仕事だ。

「うん、ありがと」

私は櫂にお礼を言うと、咥えていたチョコ味の棒菓子をパリッと音をたてて折った。

(……今から?)

鈴木くんらしからぬ性急な文面に違和感を覚える。

今日は出張で帰りが遅くなると言っていたのに。

鈴木くんは仕事で遅くなる時には基本的に家に寄っていかない。

幼稚園児と、小学生がいることを知っているから、夜遅くなってからお邪魔するのを遠慮してくれているのだ。