「鈴木くんが素敵過ぎて困っているの……」

「は?」

姉さんの惚気を聞いて、私は思わず砂を吐きそうになった。

「早苗もそう思わない?」

姉さんが真顔で尋ねるものだから、ああこれは冗談ではなくマジだと思った。

(バカップルも大概にしてよ……)

くっつく前はくっつく前で散々心配をかけておいて、くっついた後は惚気を聞かされる妹の身になって欲しい。

ひとまず、砂を吐く前に姉さんがなぜそう思ったのか理由を聞いてみることにしてみた。

「鈴木のどこが素敵なのよ?」

私は出張の土産だと言って鈴木が置いて行った饅頭に手を伸ばした。

「どこって……。優しくて、男らしくて、子供に好かれて、ちょっと強引なところ?」

きゃあっと小さく可愛い悲鳴を上げて顔を隠す我が姉を、私は黙って見ていた。