「なあ、章吾。」
自販機からの帰り道、玲二が苦笑いで聞いてきた。
「ぼちたにと、最近仲よくない?」
「ああ。」
俺はとくに補足することもなく頷く。
あれから、俺は1週間に2回以上は放課後に図書室へ行き、ぼちたにと過ごしていた。
あの図書室は放課後、ほとんど誰も来ない。
自習したい人は、俺は知らなかったけど、3年の棟の自習室を使うらしい。
だから、ほぼふたりのことが多い。
ぼちたにとの時間は、とっても楽だ。
あいつを見てると楽しい。反応がおもしろいから。
それに伴い、教室でもあいさつするし、話したりもする。
周りは意外な目で見てるけど。
ぼちたにはそれを察知して『話さないほうがいい』とか言ってたけど、
そんなの俺の勝手だ。
無視してたら、そのうち何も言わなくなった。
「ああって、なんで?」
玲二が、もっと顔をひきつらせた。
「別に。とくに理由はない。」
図書室のことは、誰にも知られたくない。
「まあ、俺はいいけど・・・。
女子らが『最近、章吾が変~』って騒いでたぞ?」
「はあ?関係ないだろ。」
なんで俺がだれとしゃべるかで騒ぐ必要があるんだよ。