チリリンッと来客のベルが鳴った。



「マスター、いつもの……」



「かしこまりました」



暗い感じの曲が流れるBarのカウンター席に腰掛ける。



いつものと頼んだのは全身黒ずくめの外見に似合わないミルクティー。



それを受け取り一口飲むと、終わったという実感が得られ、肩の力が幾分抜ける。



今日も何事もなく終わったな…。



片肘をつき、束の間の休息を取っていると携帯が鳴った。



「………はぁ」



表示された名前を見てため息をつくと、残りのミルクティーを一気に飲み干す。



そしてゆっくり席を立つと、カウンターにお金を置いて店を立ち去った。