いい天気だ。

鮮やかな萌葱色をした木の葉の向こうに、まぶしく澄んだ青い空が輝いている。

芝生に敷かれたビニールシートはエメラルドグリーン。

色とりどりのお弁当が、いっそうおいしそうに見える。


 ー ねえちゃん、これ、うまいよ、これ。


もう、ガツガツするのはよしなさいよ、ゆたか。あんたもう中学生でしょ。


 ー 久し振りねぇ。家族みんなでピクニックなんて。

 ー そうだな。ここんとこ、休みもあまり取れなかったし……。


お父さんもお母さんもニコニコして言う。二人のこんな笑顔、それこそ久し振りよ。
なんだか私も嬉しくなる。


そこに、私の幸福感を打ち砕くように響いてくる音。

  ゴロゴロゴロ……

遠い雷鳴の音だ。


 ー あら、いやね、またカミナリ。


お母さんが顔をしかめる。


 ー やっぱり、だめね、みどりと来ると。いやになるわ、いつもこうで……そうだ、お父さん。この子、ここに置いてっちゃいましょうよ。


え?!


 ー うん、そうだな。この子さえいなきゃ、もう家も落雷に悩まされなくて済む。


待ってよ、お父さん!!


 ー ねえちゃんって、雨女ならぬカミナリ女だもんな。俺も賛成。


ゆたか、あんたまでっ!!
ひどいわ、私が何をしたって言うの?

ちょっと、待ってよ、ねぇ、待って……!!
待ってったらっ!!


お父さん!! お母さんっ!!
ゆたかーっ!!




…………。




……ああ、夢かぁ。


目をつぶったまま、考える。


なんで今さら、こんな夢見たのかなぁ……?
カミナリか……。


……カミナリ?

……あ!


あ、あ、あ〜〜〜〜〜っっ!!
思い出した!! のんきに寝てる場合じゃないっっ!!


家に、家にカミナリが落ちたんだ!!
いきなり、ものすごい音と光に包まれて、私気を失っちゃったんだわ。


こうしちゃいられない!!

私はガバッと上半身を起こした。