もう、どれくらい経ったのだろうか。

というより、どれくらいこうしているのだろうか。

主要の駅をいくつか過ぎ、ある程度人口密度が減ったとはいえ、まだ女性の身体は僕にくっついたままだ。

目が見えないというだけで、他は健全そのもの男性である僕には、少しばかり刺激が強い気がする。

しかし、今日出逢ったばかり、それもとてもオカシイ形で知り合った筈の僕とこうしていて、彼女は嫌じゃないのだろうか。

間違いなく彼女の胸は僕の肘部分を押し上げており、彼女自身それに気付いている筈なのだ。

こういう事が好きな痴女に出会してしまったのだろうか。

だとしたら、僕は最低なクジを引いてしまったと思うし、そうでは無かったとしても彼女の神経を疑う。

なんにしろ、そろそろ無言で過ごす事にも疲れてきたので、何かしらアクションを起こした方が良さそうだ。

それまで外の景色を眺めていたのか、考え事をしていたのか、兎に角一言も喋らないでいた女性に声を掛けようとした。

その矢先に。

「……ねぇ。」

彼女が口を開いた。