しかし、
母親二人は
息子たちが
ヤってたって
いうのに何も言わない。

架凜さんは
まだいいとして
母さんは
さっき知ったのに
何も言わなかったなぁ……

父さんにも
聞かれてただろうか?

まぁいいか。

それから数日後、
事件が起きた。

その日は
先輩が受験のことで
先生に話しが
あると言って
俺は先に帰った。

だけど、これが
間違いだったと
知ったのは
家着いて直ぐに
架凜さんが
切羽詰まった声で
電話を掛けて来たからだ。

「悠真君、
尚斗と一緒に居る!?」

どうしたのだろうか?

『いえ、
今日は別々で
俺は今家に居ます』

けど……までは
言えなかった。

なぜなら、
架凜さんが
泣き崩れてしまったから。

そして俺は
自転車に乗り
学校へ戻った。

裏門から入り、
上履きに履き代え
廊下の途中で会った
莉央ちゃんも
巻き込んで
生徒指導室へ向かった。

「守藤君、
何かあったの?」

走りながら説明をする。

*今日は進路相談で
先輩と
別々だったこと

*何があったか
わからないけど
架凜さんが
切羽詰まった声で
電話をして来たこと

「ねぇ、それ
誰先生か聞いてる?」

何か関係あるのか?

『確か、
担任の段上先生
って言ってましたよ』

学校だから
莉央ちゃん
相手でも敬語だ。

「ちょっと
マズいかもしれないわ」

話しがさっぱりみえない。

『何故ですか?』

わからないものは
訊く他ない。

「実はね、
段上先生は
二人の関係に
気付いてるっぽいのよ」

まさか……ねぇ?

「それにほら、
前に食堂で会った時
安海君、
段上先生のこと物凄く
睨めつけてたじゃない」

記憶を辿りながら
とにかく走る。

あっ、思い出した!!

『確かに先輩
何か意味ありげに
段上先生を
睨んでましたね』

先輩はあの時、
俺たちの関係が
バレてることを知って
いたのかもしれない。

何で恋人の
微妙な変化に
気付けなかったんだろう。

俺のバカ!!

三階にある
生徒指導室に着いた。

しかし、俺が
声を掛けても
開けてくれないだろうと
思ってた矢先、
莉央ちゃんが
嘘をついた。

コンコン

「はい」

中から段上先生が
返事をした。

「空花ですが
職員室に先生宛ての
お電話が入ったので
呼びに来ました」

ガチャ

指導室のドアが開いた。

『先輩!!』

怯えて動けない先輩を
どうにか立たせて下駄箱に向かった。

校門を出て、停めて置いた
自転車を引きながら先輩の家に
二人で歩いた。

『悠真、
助けに来てくれてありがとう』

『恋人が危ない目に
遇ってるかもしれないと思ったら
助けに行くのが当たり前ですよ』

家に着くと架凜さんが
俺達二人を抱きしめた。

「お帰り」

玄関で泣き崩れてしまった
架凜さんを宥めながら
リビングに行き、
キッチンを借りてお茶を淹れた。

その後、
泊まって行ってほしいと言う
先輩と架凜さんに頼まれ、
お泊まりすることになった。