ケータイ小説 野いちご

✧*。〈BL〉先輩、結婚して下さい‼*。✧

第九話∬不安と反対?と

「お邪魔するわね」

母さんと架凜さんは
すっかり仲良しだ。

「今日はどうしたの?」

先輩を何時までも
立たせておくわけには
行かないから移動した。

『母さん、
単刀直入に言う
先輩のいや尚の
お腹に俺との子がいる』

隣に座ってる
先輩改め尚のお腹に
そっと触れる。

「は?」

それが
普通の反応だよな。

俺も言われた時は
母さんと同じ反応をした。

「それ本当なの?」

今病院に行って来た
ばかりだからな。

『冗談でこんな
だいそれたこと言わない』

架凜さんの方を向いて
目で確認しているようだ。

笑顔で頷いたのを見て
嘘でも冗談でもないと
確信したみたいだ。

「そうなの……
とりあえず、
うちの馬鹿息子が
ごめんなさいね」

俺も頭を下げた。

「私はいいのよ
それに、尚斗も
産みたいって
言ってるんだし
二人とも頭
上げてちょうだい」

架凜さんは
焦った様な口調で言った。

しかし、
上手くいかないのが
人生である。

夕方、
帰って来た父さんに
思いっ切り殴られた。

そして、先輩に
おろせと言ったのだ。

俺を殴るのは
いいとして、
せっかく宿った命を
そんな容易く殺せと
言われて黙っている
訳にはいかない。

ましてや、
俺たちは男同士で
本来なら
宿らなかったはずの
命が俺たちの所に
来てくれたというのは
奇跡に近い。

『父さんは
命を何だと
思ってるんだ』

尚を母さんたちの方に
避難させ俺は父さんと
正面から向き合った。

沈黙が続き、
誰も喋ろうとしない……

俺はさっき、
医者に言われたことを
思い出してため息が出た。

それは、
極力ストレスを
与えないことなのに
俺は今、
進行形で尚に
ストレスを与えている
駄目な旦那だ……

自分が嫌になるぜ。

二十分程、
父さんと対峙して
決着が着いた。

結果は俺の勝ち。

納得してなさそうな
微妙な顔をしていて
渋々、折れた。

「悠真、尚斗君
よかったわね」

母さんが俺たちの
頭を撫でた。

その後は、
俺の部屋に行き、
二人で話した。

『なぁ悠真
さっきみたいに
名前で呼んでくれないか』

気に入ったのか?

『尚』

何時ものでも
ヤってる時の
でもない呼び方。

腹部を圧迫
しない様に抱きしめた。

『これからも宜しくな』

今日の尚は
一段と綺麗に見えた。

『俺、いい父親に
なれる様に頑張りますね』

『宜しく頼むぜ、旦那様』

ふざけて、尚が
「旦那様」と呼んだ。

『元気な子を
産んで下さいね、奥さん』

俺もそう呼んでみた。

二人で笑い合った。

時間も遅いからと
尚と架凜さんが
急遽、
泊まることになった。

順番に風呂に入り、
架凜さんは母さんの
尚は俺の部屋着を貸した。

普段ならベッドに
二人で寝るのだけど、
今日は布団を
引っ張り出して来て
俺は床で寝る。

妊娠と一緒に
寝るわけには
いかないからな。

翌朝

『おはようございます』

時刻は午前十時を
少し過ぎたくらい。

今日から春休みだから
のんびり出来る。

『おはよう』

二人でリビングへ行くと
母さんと架凜さんが
朝食を並べてるところで
父さんはソファーに座って
新聞を読んでいた。

リビングを通り過ぎ
洗面所へ向かった。

朝食を食べ、
遠くまでは
行けなくても
学校や川沿いに
桜を見に行った。

三十分程散歩して
家に戻った。

『何か、
実感が湧かないな』

家に帰った後、着替えて
今は二人で並んで
ベッドに座って居る。

『何がですか?』

尚が零した
「実感が湧かない」とは
何のことだろうか?

『ん?
卒業したことも
妊娠したことも色々だ』

俺と付き合わなければ
自分が妊娠する
体質だなんて
知らないままだったのに
男と付き合って
受け側になったがために
妊娠してしまったんだから
頭で理解出来ても、
内心ではまだ混乱
しているんだろうなぁ……

『尚、ごめん』

タメ口っぽくなったけど
今はどうでもいい。

『おい、悠真
お前は何に対して
謝ってんだ?』

"何に対して"か……

『全部かな』

お腹の子供を
否定するつもりはない。

この子は
俺たちを選んで
来てくれたんだから……

『俺はお前と
付き合ったことを
一度でも後悔
したことはない』

俺だって、
後悔なんてしてないけど、
申し訳ない気持ちになる。

『はぁ~
悠真のことだから
俺に申し訳ないとか
思ってんだろう?』

心の中を見抜かれた。

『確かに、
実感は
まだ湧かないけど
他の誰でもない
お前が俺の恋人で
よかったって
思ってるんだからな』

隣に座ってる
俺の手を両手で握った。

『愛してる』

その一言が
俺の胸に響いた。

『俺も愛してます』

空いてる右手で
尚の両手を包んだ。

< 11/ 14 >