駅前の大通りから外れて路地に入ると、隠れ家のようなレストランがひっそりと佇んでいる。

シックな外観が高級感を漂わせているけれど、意外とリーズナブルで家族連れやカップルにも人気のお店だ。


名前だけは聞いたことがあったらしい椎名さんを引き連れ、金色の取っ手を押して中へ入ると、ほの暗い店内ではR&Bが控えめに流れている。

店員さんに個室に案内されると、テーブルを囲んでメニューを広げる三人が待っていた。

一番奥に座る水野くんが顔を上げ、意味ありげな目で私達を見ながら笑う。



「お。やーっと来たよ、今日の主役が」

「お疲れ様。すいませんね、遅くなって」

「いえいえ、気にしないで! どうぞ座って座って」



相変わらず低姿勢な椎名さんを促す園枝さんだけれど……

おかしくない!? この並び方!


だって、私と椎名さんが座るように開けられた椅子の向かい側に、三人が並んで座ってるのよ?

椎名さんと隣に並ぶのはいいとして、目の前に三人がいるなんて……

絶対私達の様子をじっくり見て、面白がりたかっただけでしょう!!


……と心の中で文句をつけるも、椎名さんは特に気にした様子もないので、私も何も言わずに渋々座る。

席につくと、やっぱり同じ顔でニンマリと笑っている三人に、私は冷ややかな視線を送った。

けれど、そんなことは気にしない真琴ちゃんが私達にメニューを差し出す。