「なあ、いつになったら話してくれるんだ?」


 私の隣で歩いているジンがそう言った。
 ジンの背は170センチより少し高く、髪は茶色。

 街はすっかり白一色。

 私もジンもマフラーと手袋を完全装備。
大学2年生の私と彼は、付き合って1年をとうに超えている。
大きく暖かい彼の手を握りながら、彼の言葉に耳を傾ける。


「確か1年前くらいにさ、『付き合って1年経ったら秘密を話す』とか言ってなかったか?もちろん、由新(ゆに)の秘密だぞ?」


「う…まあその時はその時で」


 はあ、とため息をつきながら私の手を強く握ってくる。
その握られた手を、また握り返す。
握り返して、握り返される。
その何度も続く単純な行為が嬉しい。