——「……っ」



大変罪深い私をどうかお許し下さいませ、神様仏様棗様。



私は現在、上半身裸で健康に眠る棗様の腕の中にあります。


棗様はまだ起きないご様子で、私の抵抗も虚しく終わる。




「な、棗っ、さま!」




いつものように肩を揺らして起こそうとしていたその時、棗様は肩を掴んだ私の腕を鷲掴み、そして強引に引き寄せた。


そしてボスッと見事ベッドに着地すると、棗様は抱き枕の如く私を抱き締めたのである。



真っ赤とかそういうレベルじゃない。




「棗さまぁぁぁ!」




どうしようどうしようどうしよう。


起きて欲しいけどこの状態を棗様が見たらどうなるだろう。

即刻私なぞ解雇だろうか。



私は半分起きて欲しい気持ちと半分寝てて欲しい気持ちを交えて棗様に呼び掛ける。

そしてなんとか自力ではい出そうともがく。


しかしなんでこんなにがっちり固めて寝てられるんだ。




「……ん…」




まずい。


私は一瞬にして冷や汗を掻く。


棗様早く私を解放してください。

いや、お願いです起きないで下さい。




「………………え」




私のメイド生活の終止符が打たれるかもしれない。