私は佐藤 はな。19歳。
春から晴れて大学生になる。

受験に相当な苦労をした。短大や専門学校も落ち、フリーターを覚悟して受けた4年制の大学。

見事に落ちた。

そりゃあそうだろう、短大と専門学校の受験に失敗している。そんな奴が4年制の大学に普通に受かるはずかないじゃないか。

高校の担任も呆れ果ててしまっている。

「もう私フリーターになる〜」

親にも担任にも宣言していた。
昔から勉強なんて出来ないし、なんたって嫌いだし、働いて遊んで過ごす毎日もアリだなと思い始めていた。

「あと1回だけ受けてみない?」と母親は最後の頼みというように私に言った。

「え?なにこれ。ここ落ちたところじゃん。また?」

それは4年制の福祉専門校。卒業と同時に保育士の資格が取れる。私はこの前この大学の受験に失敗したばかりだ。

「もう一度だけ!今度は受かるかもしれないから」

どこにそんな根拠があるのかと疑問だったが、母親にそこまで言われてはなんだか断りづらい。

わかったと返事をし、受験することにした。
しかし、自ら入りたいと思ったわけではないので、特に勉強もせず受験に行った。

受験から数日後。

我が家に合格通知が届いた。
しかも優秀成績による免除付きの入学だ。

私と母は抱き合って喜んだ。

なぜ受かったかは分からないが、運が良かったんだろう。

担任に受かったことを報告したら「なんかの間違えじゃなくて?」とまで言われた。


そして今日、入学に至る。
この奇跡的に受かった大学で、どんな毎日が待っているのかという期待と不安でいっぱいだった。