平成2×年──

桜が咲く季節


僕こと『坂元 涼麻(サカモト リョウマ)』は

この世界から消えた。





「ふわぁああ…今回は新選組特集だったから

仕方ないか」


口に手を当て欠伸をしながら高校へと登校

する娘がいた。


「坂元さん…昨日までの考査はどうでした

か?」


声の主であるクラスメイトの女子が

恐る恐る近づいて来た。



「え、僕……歴史は教科書見ただけで

いけたかな~他は自信が無かったから、

かなり頑張ったよ

やっと剣道が出来て嬉しい」


そう言い僕が笑うとその女の子は、

立ち止まった。

何やら口をパクパクさせている。

金魚のモノマネだろうか………




「おい見ろよ…また落とした見たいだぜ

坂元のやつ…」


「本当にタチが悪いよなあいつ」




周りからそういう男子の声が聞こえてくる

が、僕には何のことかサッパリ分からない。



「おーい早く行かないと、遅刻するよ」


一応一言声をかけたが反応がなかったので

教室へと歩き出した。




「おはよ、坂元」


自分の席に着くと、親友の佐神君が

声をかけてきた。


「おっはー佐神君、今日も

帝ちゃんと来たの?」


「えっ…うん」


一瞬驚いた顔をしたが、少し照れながら

答える佐神君はある意味貴重だ。



佐神君と帝ちゃんは、5歳の頃からの

付き合いらしくとても仲がいい。


よく一緒に来たり帰るのを目撃することも

少なくはない。




興味本位で1度付き合っているのか

訪ねたが、佐神君は顔を赤くして

否定した。