今にも潰れそうなおんぼろビル。


 飯島(いいじま)芸能プロダクション。


「あ、おはよう。花鈴ちゃん」


「おはようございまーす」


 入り口のスタッフさんに声をかけて、


 私は最上階の6階にある楽屋へと急いだ。


 パッと見、アルバイトの高校生だけど。


 アルバイト高校生じゃありません。


「ごめんなさい!遅れました!」


「遅いわよ。何していたの」


「校長先生に勉強教えてもらっていて」


「そう。どうなの?ちゃんと学べたの?」


「・・・」


 なにも言えずに黙っていると。


「まぁ良いわ。それより、早く準備しちゃいなさい。
下に車回してあるんだから」


「はーい!」


 今日は怒られないみたい!


「帰ったら美鈴(みすず)に教えてもらうこと。
モデル界のプリンセスが馬鹿だと困るからね」


「・・・はい」


 結局怒られちゃった。

 お姉ちゃん、厳しいんだよなぁ・・・。