☆朝太side☆



 通話を終えた俺は、手を思い切り壁にぶつけた。


 狭いこの部屋に、ドンッという音が響く。


 ・・・何ペラペラ語ってんだよ、俺は。


 相手は女だぞ?


 俺の外見ばかり好きになる、あの女だぞ?


 ・・・それなのに。


 何、本心語っているんだよ。


 この俺が折角助けてやったのに、それをあいつは拒絶した。


 俺が罵られた分、罵ってやろうと思って、


 苦手なあいつのマネージャーに連絡先を聞いたのに。


 これじゃあ、意味ねぇじゃん。


 ただ、あいつの悩みを聞いただけじゃねぇかよ。


 ・・・あいつの悩みを聞いただけじゃねぇ。


 俺の本心を話しちまった。


 誰にも言えず、誰にもわかってもらえないと


 諦めていた、俺の本心を。


 ・・・何しているんだよ、俺は。





 ・・・許せねぇ。


 あいつじゃない、俺が。


 本心を軽々と話した俺が。