「シキ。結界が緩んだ理由、あれから何かわかった?」


学校が終わってのいつものお茶の時間、この前ゆっくり食べ損ねたクッキーを食べながらシキに聞いた。


シキはあたしのカップに紅茶を注ぎながら、曖昧な表情を作る。


「そのことなのですが……」



言いにくそうに、腕にかける白いナプキンを整えるシキ。


「ルカに口止めされてるの?」


あたしが眉間にシワを寄せると、シキは「ええ」と頷いた。


「どうしてもあたしには教えたくないわけね。この指輪の事だって何も教えてくれないし」


あたしはイライラして、椅子の背もたれに体重を預けた。


高級素材の椅子はとても弾力があって、あたしのお尻を優しく包み込んでくれる。


あたしが膝の上でルカから貰った指輪を指にはめたままクルクル回す。


この指輪には、何の意味があるんだろう……。


「その指輪は、決して外してはなりませんよ?」


あたしは指輪から手を離してシキを見上げる。


「その指輪を使う日が来ないことを祈りますが、まんがいちと言うことがあります」