それからの日々は最悪だったよ。


なにしろあの膜のせいで、出会った人間全てに嫌われるようになってしまったんだからな。


誰もがおれと目をあわせただけで吐きそうな顔をする。人混みの中にいても、おれのまわりにだけ必ず空間ができる。


友達はいなくなった。


突然の孤独を前にして、おれはどうすればいいのかわからなかった。


小学生になっても、当然友達はできなかった。


え?いじめられたりはしなかったのかだって?


いや、それはなかったよ。膜のおかげで、誰も近づいてこなかったからな。


みんな、遠巻きにちらちらとおれを見るんだよ。車に轢かれた猫の死骸を見るような目つきでね。なんであんなものがここにあるんだ。誰かあれを早く片付けてくれ。そんな感じの視線が四方八方から飛んでくるんだ。


そんな小学校での六年間を過ごして、中学生になったおれは、見事に陰気で無口なクソガキと化していた。


・・・・・・ぐれたりはしなかったのかだって?


そうだな。確かにこうも嫌われ続けると、どす黒い感情がたまってくる。暴力的な衝動がこみあげてきたことは何度もあったさ。




でも、両親のことを考えると、それはできなかった。