彼は始めて会ったときから
常に挙動不審だった、今も。

だからきっと、彼が気になった。


クラス替えでクラスメートになった。

彼と僕は出席番号が近く、
出席番号関係では縁がある、
....いや、他にもあるけれど。

クラス替えすぐの席は
出席番号順の並びになっているため
彼とは席が隣同士だった。

だから、特に意識をしていなくとも
彼の笑顔も目についたのだ。

特に、挙動不審なところとか。


彼は、クラスの雰囲気がだんまりに
なる度に周りをキョロキョロと
ひたすら、見渡していた。

初めて不法侵入する泥棒か。


しかし、その様子も
とても愛嬌のあるものだったから
一度見れば笑みを零すだけだ。

そして、僕はいつからか
彼を。彼自身を可愛いと愛らしいと
そう思うようになっていた。

可愛いと言葉にするようになった。

可愛いと云うようになっていた。

「可愛いね」

なんて言って茶化す僕に彼は、
思わず零してしまったような笑みを
浮かべたりした。

時々、彼は甘い笑みを浮かべながら

「ありがとう」

なんて言ってくれたりするから
僕はどうしようもなく、
顔を俯きながら頬に熱を灯すのだ。


時折見せる恥ずかしそうな表情も
困ったような表情も愛らしい。


目がとても好むのだろう。


だから、もっともっと色んな表情を
見てみたいという好奇心で溢れる。


気になるのだ、彼のことが。