それは人々の前に出るらしい。

それに入り込むと、人々が豹変するらしい。

一体?―――――――――



「よっと!」

少年は木から飛び降りた。

猫を持って。

自然豊かな都市、朝霧特有の風が舞う。

少年はその風に便乗した。

風に舞う闇夜のような漆黒の髪と瞳。

漆黒のスーツをまとう少年である。

名は、如月彼方。

如月探偵事務所の十代目所長で探偵の少年だ。

彼方は下に落ちた。

「よしよし、大丈夫だよ」

彼方は猫を撫でる。

「シマー!」

一人の女性がやってきた。

柔和な印象の女性である。

(あ)

彼方は女性を見た。

そして、

「貴方がシマを見つけてくれた探偵ね?」

「はい。如月彼方です」