寝室の正面の一番奥、窓に接して置いてある大きな木製の机。

ふと見ると、その上に秀美の携帯電話が無造作に置かれていた。

変だ。

出かけるにしても、なぜ携帯を置いて行ったのか?

それとも、何か持っていけない理由でもあったのか?

「携帯に呪い殺される」

秀美の最後の言葉が耳の奥にリフレインする。

僕はその秀美の携帯を手に取った。

彼女の愛用の見慣れたいつもの携帯。

別段変わった所はない。