ライネス皇子が約束通りに撤退した後、あたしはティオンの馬に揺られて離宮に帰ってた。


……なんだか……


ティオンさん、すっごく怒ってます?


いつもなら甘いセリフの10や20は吐くのに、黙り込んだまんま。あたしの腰を抱いて離さないし……身体は密着するし。

落ち着かないってば。


けど、この痛い沈黙も元はあたしのせい……。


あたしが無茶な事をしなきゃ、セイレスティア王国兵だけじゃなく、帝国兵士だって戦わすに済んだのに。


……とにかく謝らなきゃ。


「あ……あの……ティオン……ご、ごめんなさい」

『……その謝罪は、何に対して? 僕に? それとも』

「ぜ、全部だよ! 今回は……あたしが考えなしに行動したからこんな大事になったんだし。本当にごめんなさい」


しゅん、と萎れていると、ふうっ……とティオンが嘆息する。


『僕だけじゃない。皆がどれだけ心配したか、ちゃんと解ってるのかい? 君は、君が思う以上に皆に慕われているんだよ。もっと自覚を持つべきなんだ、自分の重要性と大切さを』