観覧車はまだゆっくりと上昇していて。

パーク内のライトアップと、観覧車内のライトで児玉くんの真剣な瞳が見える。


「まず……さ、いろいろ各務さんに謝りたいんだ」

「謝る?何で?」

視線を外せないまま、質問する。

「……うん。この前も少し話したんだけど。まず、各務さんにはバイト禁止されてるって言って、ニセモノの彼女役をするのを強要したのに、俺自身は家庭教師のバイトして、ごめん」

そう言って、頭を下げてくる。

「強要って大袈裟な!」

「ホントは、ケータイの弁償なんてどうでもよかったんだ。古くなってたから、そろそろ買い替えようと思ってたとこだったし」

「…………」

「でもあの日、たまたま各務さんがケータイを踏んで、………正直、チャンスかなと思った」

「チャンス?」

「ん…」


そこで児玉くんは視線を外した。


「ヒロと昔話していたの思い出して、各務さんにニセモノの彼女役をしてもらうことを思い付いたんだ」


そう言われて、田神くんと話したことを私も思い出す。

ただ、田神くんは何か意味が違うようなことを言ってた気がするが……。