「……沙菜……最近、変だよ?」

「えっ?そぉ?」



菜緒ちゃんが人を観察するかのようにじろじろ見てくる。



その視線が何か見透かされるようでイヤだった。


「……児玉くんとのこと、いいの?」


ズバリ言われたそのワードが、ドンピシャなところをついてくる。


「大丈夫大丈夫。付き合ってるふりだったんだからー」


笑ってそういう私を、まだ疑うかのような目でみている。





児玉くんとのことをバラす気はなかったんだけど、二階堂さんが私らの学校に尋ねてきた次の日、噂がかなり広がっていた。




―――児玉くんが、かなりの美少女と教室で抱きあっていたと……。




私が朝来たときにはその話が持ちきりで。


幸いだったのは、児玉くんが図書委員の朝の当番で、彼の耳に入る前だったということ。


二股とかいろいろ言われ始め、児玉くんが悪者っぽくなりつつあったので、


「ごめんみんな、実は私と児玉くん、付き合ってるふりしてただけなんだ」


と暴露した。


変な噂で児玉くんが悪く言われるよりはましだと思ったから。