「まぁぁぁ、各務の奥様ったらラブラブな休日をお過ごしですこと」

「……おいおい……」

月曜日、菜緒ちゃんは訳のわからんテンションで、変な口調をしている。

「付き合ってたら家デートくらいするでしょ」

とフォローしてくれるのは美波ちゃんだった。

「だぁってさ、付き合ってるって知ってても、やっぱ悔しいんだもん」

菜緒ちゃんはペンをクルクルまわしている。

どうやら、昨日児玉くんと列車に乗って私の家の方向に向かうのをクラスメートに見られたらしく、菜緒ちゃんがそれを聞きに来た。

「むしろ付き合ってるんだから当たり前でしょ。ねぇ、沙菜」


―――ねぇ、と言われても。


昨日はたまたま会っただけだし、日頃会う約束をしているわけでもない。

だって、ニセモノの関係だから、わざわざ休みの日まで会う必要がないから。

かといって、二人にそんなことは言えないので、

「まぁね」

と答えるのが精一杯だった。

その返答に、

「沙菜が余裕なのが腹立つぅ!」

菜緒ちゃんが暴れている。


そんな菜緒ちゃんを、しばらく美波ちゃんと二人で見つめた。