結局あのあと、いろいろ考えていたらなかなか寝付けず。

本を読んだりホットミルクを飲んだりして寝付こうとしたが、やはり思い出すと恥ずかしくなり、また目が覚めてしまい…を繰り返した。


おかげで朝はねむたくてぼんやりしてしまった。



「沙菜、眠そうだねー。大丈夫?」

美波ちゃんが一緒に登校する途中で、私の顔を覗き込んだ。

「眠たくないって言ったら嘘になるかなー…」

返事をしてから込み上げるあくびを我慢できず、ハンカチで口元を隠した。

だが、あくびをし終わって口を閉じた瞬間、口元に当たるハンカチの感触が、昨日の児玉くんとのことをまた思い出させてしまう。

「うわっ……」


思わずハンカチを振り回してしまう私の行動を、

「何やってんの、沙菜。変だよ?」

と冷めた目で見る美波ちゃん。


―――ううっ、そんな目で見られたって!


そう言いたかったが、昨日のことを説明するわけにもいかず。