10月に入った。
文化祭の日から、
凪くんは家まで送ってくれるようになり、
お父さんに挨拶してくれて、少し絡まれてから帰って行った。
毎日毎日、手を繋いで土手を歩いて、橋を渡って……
幸せを感じていた。
10月も2週間ほど過ぎ、少し肌寒くなってきた頃、
放課後、
いつものようにベンチに座っている凪くんの後ろ姿を、校門から見てドキッとした。
ブレザー着ている........
茜に手を振って、少し走って凪くんに近づいた。
いつものように、私を見上げて笑う凪くん。
紺色のブレザー
紺地にグレーのストライプが入ったネクタイを緩ませて
長い足には濃いグレーに細かいチェックのズボン
凪くんは下を向いて肩にバッグをかけ、ゆっくりと立ち上がった。
「じゃあな、凪」
凪くんは友達に軽く手を上げて、
私の頭にポンと大きな手を乗せて私の横を通り過ぎた。
少し走って凪くんの指を掴むと、ぎゅっと手を握ってくれた。
隣りから見上げて、いつも以上にドキドキした。
ブレザー姿が、想像以上にかっこよくて......
「ん?」
土手を歩きながらずっとブレザー姿の凪くんを見つめていたら、
凪くんが、こっちを向いた。