「今日は早く行くのね、お昼は?」


日曜日の朝、


いつもだいたい日曜日は午後塾へ行くのに、


今日は10時に家を出ようとした私に、お母さんが声をかけてきた。


「今日は......友達、そう!友達と早めに行こうって約束していて。


お昼はお小遣いまだあるから、それでなんか買うから大丈夫」



塾の時と同じリュック。でも.....


「今日はずいぶんかわいくしてるじゃない」



「へっ???そう、かな?普通だけど。じゃあ行ってきます!」



持っているスカートの中で一番短いスカート、


持っている服の中で一番お気に入りの服、


いつも結わっている髪は下して、


自転車を駅へと走らせた。




あまりよく眠れなかった。

ドキドキして、考えすぎて、

結局、お昼ご飯も、映画もなんでもいいって思った。


凪くんと一緒なら、きっとなんでもおいしいし、なんでも楽しい。


そんなに急がなくちゃいけない時間でもないのに、


自転車のスピードを上げた。




駅の駐輪場に自転車を停めると、

勢いよくこいだせいか汗をかいてしまい、リュックからハンカチを出して額と首を拭きながら、

駅前のスタバへと急いだ。



道の反対側にスタバが見えて、信号を渡ろうとしてふと立ち止まった。



あれ、凪くんかな.....


白いTシャツの上に、黒っぽい七分袖のカーディガンを羽織って、

ベージュのパンツを履いていて、

下を向いてスマホを見ている。



信号が青になり、ゆっくりとその人に近づくと、



その人がふっと顔を上げて目が合ったから、思わず立ち止まった。




凪くん.......