「あの、本当に大丈夫なんですか?
凪さんの隣に行き、下から顔を覗き込んだ。
「何が?」
ゆっくりと歩きながら、凪さんが首を傾げた。
「だってなんかさっき......送るのかって.......」
川の手前のT字路で立ち止まると、凪さんがこっちを向いた。
「俺が送りたいんだから、くるみは何も気にしなくていい。
わかったな」
そう言って隣りから私の頭にぽんと手をのせると、川の方へと歩き出した。
そして凪さんは、
いつも私が通る古い石段ではなく、スロープの方から土手へと上がり、
そこからぐるっと景色を見渡した。
「どっち?」
「あ......こっちです」
家の方向を指差すと、凪さんはゆっくりと歩き出した。
川側を歩く凪さんを、隣りからちらっと見上げた。
160㎝の私よりもずっと背が高くて、
ふわふわっと盛られた黒髪は、
耳周りと襟足はすっきりしていて、
爽やかな凪さんらしいと思った。
少し俯いている凪さんの横顔は、
鼻が高くて、
前髪が……
「ん?」
ちらっと盗み見しているつもりが、
いつの間にかじっと見惚れてしまっていて、
突然凪さんの大きな瞳がこっちを向いてびっくりしてしまった。