「あぁ、樹と夏樹はねー…」


私の視線に気付いた春が、口を開いた。


その瞬間ー…


ガチャガチャッと玄関から音がした。


次にガタガタと物音がして、バタバタバタと荒々しく誰かが廊下を歩く音がした。


足音はこちらに向かって進んでくる。


足音はリビングの扉の前でぴたりと止んだ。


そしてドアノブがゆっくりひねられた。ー…その瞬間。


「まずいっ隠れて!」


聞こえたのは春の声。


肩辺りに強い衝撃を受け、私の体は後ろに倒れ、次にその反動で壁に頭を打った。


「ぃっ…」


私が頭をさすりながらむくりと起き上がると、今度はばさっと上から何かが被さってきた。


「ばふっ!?」


く、暗い。暗いっ何も見えない!


真っ暗だよ!