高校生だけでタクシーに乗るのははじめてだ。

 タクシーチケットなるものをセイから無理やりおしつけられ、アカツキと私はセイぼっちゃんが呼んでくれた黒色のタクシーに乗りこんだ。

 車内でどう過ごせばいいのかわからず挙動不審になっている私と違って、アカツキは落ち着いている。助手席のうしろで、ぼんやり窓の外を眺めていた。

 もともとの肌の白さもあって血色はよくないけど、さっきよりは顔色がいい。

「あの、大丈夫?」

「うん」

 そう答えたものの、アカツキに笑顔はない。

「あの、もしかして」

 訊きたい言葉が、出てこなかった。

 ダイチくんのセリフが頭の中をぐるぐる回ってる。

 ――アカツキ、また貧血?