6月23日、14歳になって間もない今日、
私は独りぼっちになってしまった。
私は中村夏美。
今日、たった一人の家族であったお母さんを失ってしまった。。。

ひと段落し、これからに不安をかかえたまま、ただ呆然と立っていると、会った事もない親戚たちの声がしてきた。

「あなたたちのところでひきとってあげなさいよ。」
「うちは無理よ。
子供が3人もいるし。。。」
「この不況じゃあどこもきついわよ。」
「せめて遺産でもあればねぇ。」
「かわいそうだけど…。」

はぁ。聞こえてるって。笑
そんな話をしていた親戚たちがだした結論はこうだった。

「夏美ちゃん、施設行こうか。」

笑顔で言われても。。。

私はお母さんが死んだ日から頑なに決めていた事があった。
そう、施設には、絶対行かないこと。
理由?そんなのないけど、強いて言うなら知らない大人に育てられたくないからかな。

だから、私はこう言い放った。
「すみません。施設にはどうしても行きたくないです。これがわがままなのはわかっています。なので、なんとか1人でやっていくんで。ご心配、ありがとうございます。」

そして私は走りだした。
あてもなく、ただひたすら走った。


そうして走っているうちに見えてきたのは木でできた小屋だった。
あそこ、住むにはちょうどいいかも。
そう思った私は小屋に向かった。
「ガチャ。」
扉をあけた瞬間ー
「わぁっ。すいませんでした‼︎」
私はそう言って急いで扉を閉めた。
まさか人がいるなんて。。。

そうしてまた走りだそうとしたその時、
私は振り返った。
右腕を掴まれたからだ。
振り返ると、1人の少年が立っていた。私と同んなじ位の歳だろうか。長身で細身。髪は短く、服装はTシャツ短パンというごくごく普通の少年だった。

腕を掴んだ少年は振り返った私に
「君、1人?」
と、聞いた。
私は小さく頷き、こう聞き返した。
「あなたは誰?」
すると少年は笑顔でこう言った。
「とりあえず入りなよ。」
入る?どこへ?
疑問に思いながらも私は少年の後をついていこうとしたら、少年が入ったのはさっき私が扉をあけた、あの小屋だった。
あぁ、さっき見たのは
この子だったのか。

小屋の中を見た瞬間、驚きを隠せなかった。外側の印象とは一転し、中が豪華すぎる。様々な家具があり、生活できちゃいそうな小屋だった。