「ねえ、聞いた?
南雲くん、彼女できたって」


「え、それデマじゃないの?」

「なんか本当らしいよ」





うそー、なんて声が聞こえて、慌てて階段の陰に隠れた。

…いや、隠れる必要もないのかもしれないけど。




「だって南雲くんって女嫌いじゃなかった?」


「そう、だから彼女ってどんなすごい子なのかって思ったんだけどさー」




ごくり、と唾を飲んだのは私。




「すごい普通なの、まあ普通に可愛いんだけど…」


「えー、そういう趣味だったんだぁ」




じゃあ派手な子が告白しても振られるわけだね、なんて会話。


通り過ぎた二人の背中を見て、少し俯く。