次の日は、



シニガミチェーンメールが



あると言うのに、



熟睡する事ができた。



綾介はサッパリとした顔で、



ベッドから起き上がる。



「あら綾介、おはよう」



「…おはよ」



滅多にしない返事を返し、



食パンを焼いて、



もしゃもしゃとかじる。



母は、綾介が返事をした事に、



感銘を受けている様子だ。



手早く準備をし、



家を出て自転車に乗る。



もう、



シニガミチェーンメールを



信じてない者は、



誰一人として居ない。



当たり前だ、目の前で



花香と黒が消えたのだし、



玲二の謝罪ムービーには、



死神というものが



くっきりと写っていた。



シニガミチェーンメールは本物。



綾介はいつも通りの



町を通り抜けていく。



最期の悪足掻きとばかりに



咲く花を見るたびに



花香を思い出しては、



首をブルブルと振った。



もう…思い出すな。



駅舎の自転車置き場につき、



改札口に向かう。



そこには、柱に寄りかかって



腕を組んだまま



久琉斗が待っていた。