次の日は、曇りともとれる、雨。



綾介は



小麦色に焼けたトーストにマーガリンを



たっぷりと塗った。



皿の上に乗せると、



そのトーストは



とても美味しそうに映える。



しかし、その見た目と反映するように、



綾介は陰鬱とした



重々しい空気をまとっていた。



今日がやってきた。



今日のモルテは誰なのか。



それが気にかかって仕方がない。



しかし、有力なモルテ候補が一人。



…渡辺がモルテかもしれねえな…



昨日、



楽しげに岡沢にメール送ってたし…



綾介がサクサクとした食パンを



食べ終えてから、駅舎に向かう。



自転車は空気を裂いていく。



綾介がそのイメージを



思い浮かべた瞬間、



ハンドルを切り損ねた。



道路に突っ込みそうになり、



慌てて右にハンドルを変え、



両足をついて、止まる。



そのイメージが



玲二を連れていった、



死神の鎌と重なったからである。



綾介は荒くなった息を整えるように



深く息を吸ってから、



また、自転車を漕ぎ出した。



恐怖は心を蝕んでいる。



駅舎の改札口についた時、



いつも居るはずの久琉斗が居なかった。



綾介は若干肩を落とし、



丁度止まった電車に飛び乗る。



動き出した電車の窓は、



のどかな田舎町を映し出してゆく。



影がおりたその町は



綾介には、黒いマントに見えた。



綾介はそんな景色を見つつ、



シニガミチェーンメールの事だけを、



一心に考え込む。



シニガミの目的、それはなんだよ?



人を連れていく事?



なら、



チェンメを流さなくて良いだろう。



なんでワザワザチェンメを?



何かを見るため…?



調べたりするためか?



そこまで考えた時、



電車は駅についた。



鞄を肩に担ぎ、



山目高校までの道を



無心に歩いて行く。