あの日から、早1週間。


 当然のことながら、先生とは何もない。

 たまに、喋るぐらい。


 それでも、平凡と流れる日々が、恋をすると、貴重な時間となる。


 授業中。

 背中を眺めて、舞い上がってる。


 まさかの恋は、あたしの中に、すっかり定着してきた。


 しかし、一つだけ、辞めてほしいことがある。


「次はー…小泉。答えろ。」


 そう、授業中に当てることだ。

 10回に1回は、あたしに当ててくる。


 数学は、もちろん苦手。


 それを言ったら、余計に当ててくるようになったのだ。


 …この、ドS教師がっ!!

 恥を掻かす気か!


 大体、先生を見つめてんだから、授業なんて聞いてないし。

 教科書すら、開けてないんだよっっ!!


 なんて、変に怒ってる。


 先生を好きになるって、苦しいと思っていた。

 でも、まさか勉強にまで支障がでるとは……


 先生の前の授業は、先生のことを考えて、全然気が入らない。


 先生の授業は、勉強どころじゃない。


 数学はもう、前よりもできなくなった。


 「……分かりません。」


 あたしは立ち上がると、そう言った。


「お前……出来なさ過ぎだ。」


 先生は、呆れて言った。