翌朝。





「…おはよー」




昨日のことがあってか、いつもより早く起きてしまった。

……昨日もなかなか寝付けなかったんだけどね。



制服に着替えて1階へ下りると、キッチンに立っていたお母さんが私に気付いた。





「あら早いのね。おはよう」


「おはよう比乃ちゃん」





テーブルで新聞を広げている佐伯さん。


そうか……佐伯さんはもう、〝お父さん〟なんだ…。





「おはようございますっ」




少しだけ緊張しながら挨拶を返すと、佐伯さんは優しく微笑んでくれた。





「比乃ちゃん、まだ刹起きてないみたいなんだ。
悪いけど起こしてきてくれないかな?」





佐伯さんは2階を見上げながら困ったように笑う。


……刹、起きてないのか。





「わかりました…っ」











――とは言ったものの…。

昨日のあれ以来、刹に会うの気が引けるんだよねぇ…。


あれだけからかわれたら嫌にもなるよね。




――コンコン。




刹の部屋をノックしてみるが、返事がない。


まだ寝てるのかな…。





「刹ー…朝ですよー…」





再度ノックしてみても、返ってくるのは静寂だけだった。